特集 性器捻轉の臨牀
症例研究
子宮の軸捻に就いて
各務 勤
1
1花岡鑛業所附屬病院
pp.425-430
発行日 1950年11月10日
Published Date 1950/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200402
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子宮軸捻に關する我國の報告例は,非妊娠子宮の軸捻としては高橋,竹下,山田の3例,妊娠子宮の軸捻としては田口,高橋稲垣の外に,副角を有する單角子宮の戸野原,重複子宮の梅田,大塚,双角,子宮の吉川の6例,計9例の報告を看るにすぎない。日光電氣精銅所附屬病院在職中偶々双角子宮の右角妊娠7カ月子宮の頸部にての左方軸捻の例に遭遇したので,茲に其の一例報告をなすと共に,我國の報告例を通覧しつつ,子宮軸捻の概説を試みようと思う。
患看—平○乙○,28歳,未産婦,昨年妊娠3カ月で流産。最終月經,昭和23年2月16日より4日間。胎動自覺7月下旬。何等之と謂う原因なく(普通の日常生活で特別に過勞したという記憶はない)昭和23年8月19日午前2時頃突然強度なる下腹部緊張感と共にしめつけられる樣な壓痛を訴え,緊張感は餘り甚しくなく,壓痛感は次第に疼痛となる。當直醫の往診を受け麻藥の皮下注射をうけ緊張感疼痛は一時輕減するも又激しくなる。次いで助産婦の往診を受け石鹸浣腸を受ける。患者は緊張感發生以來胎動自覺なしと云う。其後疼痛は激しくなるも,嘔吐惡心は共に全くなく,發熱性器出血もない。
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