原著
妊婦血清に於けるコリンエステラーゼ活性値の消長について
石塚 壽男
1,2
1慶應義塾大學醫學部産婦人科教室
2慶應義塾大學附屬醫學専門部慶應中野病院産婦人科
pp.396-405
発行日 1951年10月10日
Published Date 1951/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200539
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緒論
妊娠時に於ける自律神經の状態に關しては,夙に注目され,幾多の研究業績を觀るが,未だ精細なるものに乏しく,從つて一定の結論に達していない。即ちP.Camargo1)(1916)はAschner氏反應竝にアドレナリン,ピロカルピン其の他の藥物的自律神經機能檢査法によつて,妊婦は自律神經の一般的不安定状應にあり,且つ副交感神經的體勢を示す場合が稍々多いことを明らかにした。本邦では谷本2)(1920)が同じく藥物的檢査法に從い,晩期正常妊婦の大多數がワゴトニー状態であることを證明した。N.Lauros3)(1923)も亦,アドレナリン血壓曲線を以て,妊婦は自律神經系の不安定状應にあり,而もより一層副交感神經的であると述べている。Peyser4)(1924)は之を追試して同樣の結果を得た。同年更にL.Seitz5)は「妊娠時に於ける自律神經系統の態度竝に障碍」と題する綜説に於て,妊婦が交感神經緊張性か,將また副交感神經緊張性であるかは,各個體により,各臟器により,又妊娠時期により一定するものでないと記している。
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