論叢
ふたたび尾骨側部ドレナージについて
秦 良麿
1
1九州大學醫學部
pp.285-287
発行日 1950年7月10日
Published Date 1950/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200367
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わたくしはきよう臨床婦人科産科第4巻第1號をうけとつて,まず卷頭の荻野博士の「岡林式子宮頸部癌剔出術後の骨盤傍組織化膿防止策としての尾骨側部ドレナージの効果報告」という論文を拜見し,そのなかでわたくしが先般産科と婦人科第16卷10號に發表した尾骨側部ドレナージの追試報告は,それがペニシリンと併用されているがゆえに,むしろペニシリンによる効果と考えられる余地があるから,あれでは尾骨側部ドレナージの眞價をうたがわしめる結果にもなりかねないとのおとがめをうけたような氣がした.そして博士の論據となつたものの一つは,さきに本誌第3卷第9號に發表された加來教授のペニシリンによつて骨盤結合織炎を100%防止しえたという10例についての報告であるとおもわれる.しかし博士の論旨にはわたくしにとつて納得できかねる點があり,またわたくしの過去の化學療法成績の發表についてもやや誤解されている點があるかとおもうので,一應ことに私見をのべさしていただきたいとおもう.
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