--------------------
子宮癌患者の肝臟機能に就て—馬尿酸試驗法による
高橋 茂
1
1慶應義塾大學醫學部産婦人科教室
pp.351-355
発行日 1949年9月10日
Published Date 1949/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200255
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
緒論
最近米國に於て盛に用いられ我が國に於ても注目せられ始めた馬尿酸試驗法により子宮癌患者の肝臓機能を檢査し興味ある成績を得た故茲に報告する.
惡性腫瘍の隨一たる癌腫が一局所疾患に止まらず全身の諸物質代謝の變動を來し殊に解糖作用の著明な亢進を來すことは既に認められている所であり.又肝は全身最大の重要臓器であつて糖質蛋白質其の他の物質代謝に重要な役割を演ずることを考えれば癌と肝機能の間に密接な關係のあることは誰しも考え到る所であるけれど從來之に關する研究は比較的少なく,Ptinada (1927)以來水原,加來,Eufinger,Rothermundt Wiesbader,Irsigler,戸田,近,羽田,今泉,高杉,小林等の研究があるが之等は何れも馬尿酸試驗法以外の方法を用いており,例えばアゾルビンS法,尿ミロン反應,サントニン法,ウロビリン膿試驗法等に依つている.之等の成績を綜合すると癌患者に於ては肝臓機能障碍が認められその蔓延に伴い著明になることを示し殊に小林は戰前に於て各度子宮癌患者の肝機能を比較研究している.しかし乍ら之等の成績判定は何れも數値的に示し得ない憾がある.
Copyright © 1949, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.