増刊号 産婦人科処方のすべて─すぐに使える実践ガイド
婦人科編
IV 腫瘍
子宮頸がんの進行・再発例への化学療法
喜多川 亮
1
1NTT東日本関東病院産婦人科
pp.171-173
発行日 2014年4月20日
Published Date 2014/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409103703
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適応と治療方針
新FIGO進行期分類のIVB期および再発症例が対象となる.ただし,本邦の実地臨床においては治療前評価としてCT検査が行われることが通例であり,そこで判明した切除不能な多発肺転移などの遠隔転移を有する症例も適応となる.また,病巣が未照射領域に限局していたり,根治切除可能と思われる場合には化学放射線療法(CCRT)や手術療法が優先される.
よって,根治不可能な対象が適応となり,治療目標は症状緩和とそれに伴うQOL向上,さらには延命である.厳密には全身化学療法と緩和治療(best supportive care : BSC)を比較した試験が存在しないため,化学療法が標準治療とは断言できない.しかし,ここ10年ほどの臨床試験において徐々に全生存期間(OS)の延長がみられており,全身状態(PS)良好,高齢でない,重篤な合併症を有さない,などの条件を満たせば十分な治療適応として提示できる.
一方,子宮頸部局所からの多量出血,骨転移による痛み,脳転移など制御困難な局所症状が存在する場合には,緩和的放射線治療を行ったあとに残存病巣を再評価して全身化学療法開始の是非を検討,という方針が望ましい.
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