増刊号 産婦人科処方のすべて─すぐに使える実践ガイド
婦人科編
IV 腫瘍
子宮頸がんの術後アジュバント
喜多川 亮
1
1NTT東日本関東病院産婦人科
pp.168-170
発行日 2014年4月20日
Published Date 2014/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409103702
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
適応と治療方針
手術療法にて完全切除が行えた臨床進行期IB~IIB期のうち再発リスクを有するものが対象といえる.傍子宮結合織浸潤あり,骨盤内リンパ節転移陽性といった術後再発高リスク因子群は局所にとどまらず遠隔再発の可能性も高く,現時点では化学放射線療法により全身制御も行う有用性が示され,術後治療の標準となっている.しかし,化学放射線療法での全身制御は十分とはいえず,術後化学療法をしっかり行い全身の微小転移を制御することが予後改善に繋がる可能性がある.さらには,初回治療体系から術後の放射線治療を省略できる可能性があり,排尿障害・リンパ浮腫・イレウスなどの長期にわたる毒性軽減による治療後のQOL向上も期待できる.このメリットはbulky症例,深い頸部間質浸潤,もしくは脈管侵襲陽性といった術後再発中リスク因子群でも同様である.万一,骨盤内制御に劣り再発したとしても,その時点で化学放射線療法を行えばレスキューしうる.
TakeshimaらはBOMP(ブレオマイシン+ビンクリスチン+マイトマイシンC+シスプラチン)療法と古いレジメンではあるが,中リスク群で93.3%,高リスク群で85.7%の良好な5年無再発生存割合を報告した.術後放射線療法と比較し生存割合が同等であったとする報告があるが,Lahousenらのランダム化比較試験は症例数が少なく,Iwasakaらの報告は後方視的である.よってエビデンスとしては十分ではない.さらに,現在の標準治療である(手術+)化学放射線療法とのランダム化比較試験もないが,化学療法レジメンの有効性も高くなっており,積極的に臨床試験を行い検証することが望まれる.
Copyright © 2014, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.