増刊号 産婦人科処方のすべて─すぐに使える実践ガイド
婦人科編
IV 腫瘍
子宮頸がんの術前化学療法
喜多川 亮
1
1NTT東日本関東病院産婦人科
pp.164-166
発行日 2014年4月20日
Published Date 2014/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409103701
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適応と治療方針
初発時の臨床進行期でいえばIB2~IIB期,もしくはCTやMRI検査の結果でbulky症例,傍子宮結合織浸潤あり,骨盤内リンパ節転移陽性,などの再発高リスク因子を明らかに保有する対象が適応となりうる.(初回手術+)放射線療法とのランダム化比較試験のうちBOMP療法(ブレオマイシン+ビンクリスチン+マイトマイシンC+シスプラチン)を用いたJCOG0102試験は無効中止に終わったが有用性を示した試験もあり,術前化学療法のレジメン選択は重要な要素の1つと思われる.TIP療法(パクリタキセル+イホスファミド+シスプラチン)をIP療法(イリノテカン+シスプラチン)とランダム化比較したBudaらの報告では,奏効割合は高くなったものの毒性も強く,全生存期間(OS)に有意差はみられなかった.よって,2剤併用療法を安全に行い,主治療である手術に結びつけることが肝要である.現在の標準治療である(手術+)化学放射線療法とのランダム化比較試験がないため有用性は定かではないが,奏効すれば術後の放射線治療を省略できる可能性があり,リンパ浮腫をはじめとする晩期毒性を軽減し治療後長期のQOL向上が期待できる.よって,臨床試験としての積極的な治療開発が望ましい.
そのほかに術前化学療法の利点として,早期の遠隔微小転移制御による治癒率向上,腫瘍縮小による手術の根治性・安全性向上も期待できる.
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