書評
神崎秀陽(編)―更年期・老年期外来ベストプラクティス─誰もが知りたい104例の治療指針―
堂地 勉
1
1鹿児島大学医学部産科婦人科学教室
pp.441
発行日 2012年5月10日
Published Date 2012/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409103048
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最近の医学・医療の進歩は,更年期を契機として,あるいは更年期周辺でさまざまな身体の急激な変化や疾患が発生することを明らかにしている.しかも,その機能的な,あるいは器質的な変化は,加齢よりもエストロゲンの減少が大きな要因になっていることをも明確にした.一方,女性が社会に進出し,それが当然のことになった現在では,更年期や更年期周辺に発生するさまざまな身体の変化・変調にどのように対応するかが,重要な課題としてクローズアップされている.このような状況のなかで,健康であるということは,個人それぞれのQOLを追及することのみならず,社会的にも非常に重要な意味を持っているといえよう.
また,更年期は更年期障害のみならず,特に閉経以降は高血圧,糖尿病,脂質異常症,骨粗鬆症,脳血管障害,痴呆などの発生率が上昇してくることが明らかになっており,婦人科疾患のみならず,内科疾患,整形外科疾患,精神科疾患などもある程度念頭に置いた治療戦略が必要になってくる.しかし,多忙を極める産婦人科医にとって,他科疾患をじっくり勉強する時間がないことも事実である.また,婦人科疾患であっても,日進月歩する薬剤や治療に関しては,自分の専門分野でなければ常に最新の知識を持っておくことは困難である.さらに,当世の情報化社会にあって健康に関する情報は氾濫しており,一般人のみならず医療関係者においても混乱しかねない状況にある.
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