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はじめに
プレネイタル・ビジット(出産前小児保健指導)は,平成4年度に国のモデル事業として開始され,その後市町村による選択事業として継続されることとなったが,全国的にはほとんど実施されないまま経過していた.
平成12年,日本医師会少子化対策委員会は「安心して出産・育児のできる環境づくりとして,プレネイタル・ビジット事業の推進」を提言.日本医師会は,増加する乳幼児虐待の対応として,プレネイタル・ビジット事業を推進し,母親の育児不安を解消し,乳幼児虐待を防止できるように育児支援をすることの重要性を強調した.
他方,厚生労働省は「健やか親子21」の中で,「妊産婦の心の問題への対応として,育児不安軽減のための取り組みとして,プレネイタル・ビジットを含む産科,小児科の連携による心のケアの推進」を課題として公表した.
以上のような経緯から,平成13年,厚生労働省は,日本医師会の協力のもと,全国48か所で,産婦人科医・小児科医地域連携事業,「出産前小児保健指導(プレネイタル・ビジット)」モデル事業を行うこととなった.
大分県ではこのモデル事業に3か所が参加することとなったが,実施要綱とは異なる全県一区方式とし,県内のすべての妊産婦を対象として行うこととした.県医師会に事務局を置き県医師会,産婦人科医会,小児科医会,行政(県)の4者からなる事業推進委員会を設置して緊密な連携のもとに事業を実施した.モデル事業の結果から,この事業には意義があり,継続する必要性を認めたため,平成14年度は,県医師会,産婦人科医会,小児科医会の3者が費用を拠出して実施することとし,県内の市町村へ事業化の要請を行った.この際,出産後の母親にも育児不安が強い人が多くみられ,出産前に小児科受診ができなかった人も多くいたことから,出産後の母親も対象にした「ぺリネイタル・ビジット」と名称を変更して実施することとし,今日まで改良を加えつつ事業を継続しているところであり,現在県内18市町村のうち6市1町が事業化している.出産数7,099人/10,072人=70%をカバーする地域で実施している.
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