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当院は,大分市と由布市の境目に位置し,山を隔てて別府市の中心市街地まで車で30分以内の距離にあり,大分県における地域医療の中心を担っています。2018年の病院再編により手術室は15室に増え,ドクターヘリも稼動する高度救命救急センターからスムーズに手術室に患者搬入ができるようになり,三次救急医療も行っています。ロボット支援下内視鏡手術やハイブリッド手術のような高度低侵襲手術にも対応しつつ,時代とともに難化する周術期管理にも取り組んでいます。集中治療室は現在8床が稼動しており,麻酔科医が集中治療専任医として全身管理を行うclosed ICUで運用しています。術後の患者が主ですが,年間約3割は院内もしくは院外からの重症救急患者で,「病院の中の病院」をモットーに呼吸循環管理,血液浄化療法や体外式膜型人工肺(ECMO)をはじめとした多臓器補助,全身管理を行っています。さらに,緩和ケアチームの一員として各診療科から依頼のあった患者の疼痛管理,鎮静だけでなく呼吸や栄養など病棟での全身管理も行っています。
学生や研修医教育にも積極的に取り組んでおり,気道確保や中心静脈穿刺のハンズオンは毎回定員オーバーになるほど人気の教育セミナーです。研修医向けには「大分県麻酔科学アカデミー」という勉強会を隔月で行っており,手術麻酔だけでなく集中治療,ペイン・緩和ケア,救急医療,地域医療,さらに麻酔科標榜医を取得した内科医の各科での活躍についての内容を扱ってきました。それだけでなく,働き方改革や,手帳の使い方といったスケジュール管理,論文執筆を含めた情報発信の意義,医師としてのキャリアパスなども扱ってきました。麻酔科学を中心に急性期医療の実態や専門医研修のトレンドを知ることで大分県の地域医療から日本の医療の問題点,さらには医師一人一人のキャリアパスについて学んでもらっています。
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