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最近に於ける無痛分娩の傾向—アメリカ最近の傾向
三好 敎道
1
1長崎醫科大學産科婦人科學教室
pp.416-420
発行日 1949年11月10日
Published Date 1949/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200274
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1.緒論
從來行われて來た操作と方法とを公正嚴密に批判的に判斷する時は,産痛を完全に無くすると云う希望は未だ達成されるに至つていない.母兒共に障碍が無くて而も産痛を緩和させ或は完全に無くしてしまう點で滿足する結果が得られるような方法は現在何一つ知られていないが,最初Kronig及びGaussに反對の態度を取つたような宗教的性質を帶びた觀念は今は殆んど無くなつている.最も時宜を得た鎭痛はすべての母親にとつて全く感謝すべきものであることは當然である.現に米國に於ては大多數の産婦はこれを求めている様である.然し此の問題は醫學的見地からは尚充分の檢討を要するものである.特に神經過敏な神經質な者では出産時の疼痛は永く恐怖となつて記憶に留まり,其の結果屡々その後に於ける性的冷感症,性交に封する激しい拒否の態度を招來し,延いては結婚生活そのものゝ危機をさえ釀すに至るのである.
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