シリーズ最新医学講座―遺伝子診断 Application編
HTLV-Ⅰ
田口 博國
1
,
三好 勇夫
1
Hirokuni TAGUCHI
1
,
Isao MIYOSHI
1
1高知医科大学第三内科
キーワード:
HTLV-Ⅰ
,
サザンブロット法
,
PCR法
Keyword:
HTLV-Ⅰ
,
サザンブロット法
,
PCR法
pp.1079-1083
発行日 1996年9月15日
Published Date 1996/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903026
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HTLV-Ⅰの構造
成人T細胞性白血病(adult T-cell leukemia;ATL)の原因ウイルスhuman T-lymphotropic virustype Ⅰ;HTLV-Ⅰはレトロウイルスに属し,ウイルス粒子は平均直径100nmの球状で,外側のエンベロープと中心部のコアからなり,コアの内部に一本鎖RNAが2本入っている(図1).HTLV-Ⅰは細胞膜から出芽の形で細胞外に放出され,主としてCD 4陽性のヘルパーT細胞に感染する.感染後ウイルス自身の逆転写酵素によりウイルスRNAは相補的DNA(プロウイルスDNA)となり,宿主細胞の染色体に組み込まれる.プロウイルスDNAは9,032塩基対からなり,図1に示すようにLTR★-gag-pol-env-pX-LTRの構造を持つ.gag遺伝子はウイルスのコア蛋白質p19,p24,p15を,pol遺伝子は逆転写酵素を,env遺伝子はエンベロープ蛋白質gp 46,p20Eをコードする.pX領域にはtax,rexの遺伝子があり,ウイルスの増殖を自己制御するとともにATLの発症に重要な役割を果たしていると考えられている.
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