今月の臨床 婦人科内分泌療法─病態の理解と正しい診断に基づく対処・治療のポイント
月経異常
4.機能性出血
可世木 久幸
1
1日本医科大学武蔵小杉病院女性診療科・産科
pp.390-397
発行日 2011年4月10日
Published Date 2011/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102622
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1 概 念
最近,数年間の邦文産婦人科商業雑誌の特集を見た限りでは「機能性子宮出血」を表題として記載した総説は少ない.大部分は「月経異常」,または「不正出血」を表題とした総説のなかの一部に機能性出血を扱っている程度である1~4).そのなかにあって,機能性出血について比較的わかりやすくまとめた著書として社団法人日本産婦人科医会が発行した研修ノートNo. 73「不正性器出血」を挙げたい5).さらに,本年に入って日本産科婦人科学会誌に不正出血に関するわかりやすいチャートが掲載された6).本総説でも,これらの文献を参考にして記述を進めた.
ところで,子宮出血を表す用語は数多くある(表1).このうち,周産期用語を除き,生理的な出血つまり月経以外の出血の総称が不正子宮出血である.不正子宮出血は主に機能性子宮出血と器質性子宮出血に分類される.一般的に,機能性子宮出血を言い表すためには器質性子宮出血の説明をしたほうがわかりやすい.つまり,器質性子宮出血とは悪性ないしは良性腫瘍,炎症または外傷による器質性変化が子宮に存在するために起きる出血である.これらの器質性疾患を認めない子宮からの出血を機能性子宮出血と定義する7).この定義では出血傾向をきたす内科疾患(血液疾患,肝疾患,薬物服用など)による出血も含まれる.
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