講座
卵巣機能性出血
斎藤 幹
1
1東京医科歯科大学産婦人科
pp.44-47
発行日 1959年8月1日
Published Date 1959/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201739
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はしがき
女性における第2次性々徴の出現,発達が卵巣より分泌される所謂女性ホルモンの影響により起るものであることは,皆様のよく御存知の通りであります.卵巣が機能を開始したことは初潮の発来という形で先ず現われます.然しこの時期における卵巣機能は未だ働き始めたばかりなので順調には行われず,従つて月経もどちらかと云うと不順がちのことが多く,数カ月に1回あつたり,或いは全く不規則に起つたりします.このような状態は年齢の増加と共に次第に是正され,月経も規則正しくなり排卵も順調に起り,肉体的にも精神的にも女性として最も充実した成熟期を迎えます.40歳前後の所謂更年期になりますと,卵巣機能は次第に衰え月経も不整となり,種々の症状に脳まされます.遂には卵巣は機能を完全に停止し月経もなくなり,此処に狭い意味での女性の性的活動が終りをつげます.
このように卵巣機能は思春期には不完全な曲線を描きながら上昇し,成熟期では安定した最高のレベルを保ちながら平坦な曲線を示し,更年期に入り再び不安定に下降いたします.これから御話しする機能性子宮出血はこうした卵巣機能の変化と密接な関連性がありますので,よく御分りのことと思いますが,はしがきで蛇足を加えた次第です.
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