今月の臨床 婦人科内分泌療法─病態の理解と正しい診断に基づく対処・治療のポイント
思春期
5.摂食障害
戸田 稔子
1
1松江生協病院産婦人科
pp.329-333
発行日 2011年4月10日
Published Date 2011/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102611
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1 概 念
摂食障害(eating disorder : ED)とは,不安やストレスを心で感じ解決する代わりに「食べる」「食べない」のこだわりに置き換え,食行動異常により発散する精神疾患である.思春期女性に好発し,肥満恐怖を伴う食行動異常を主症状とし,慢性に経過する難治性疾患である.EDは大きく,病的なやせのある神経性食欲不振症(anorexia nervosa : AN)とそうでない神経性過食症(bulimia nervosa : BN)に大別される.発症年齢のピークはAN : 12~18歳,BN : 15~22歳と,BNはANよりやや遅れて発症する.発症年齢は低年齢化し,近年のAN患者の25%は15歳未満である.思春期のEDではBNは少なく,制限型のAN(思春期やせ症)が多いといわれている.よって本稿ではANについて解説する.近年の社会文化的環境の変化を背景にして患者数は増加している.内科・小児科・婦人科においても日常的な疾患となっている.
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