今月の臨床 婦人科内分泌療法─病態の理解と正しい診断に基づく対処・治療のポイント
思春期
2.遅発思春期
藤井 絵里子
1
1国立成育医療研究センター女性診療科
pp.312-317
発行日 2011年4月10日
Published Date 2011/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102608
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1 概 念
思春期とは第二次性徴の出現から始まり,初経を経て第二次性徴が完了し,月経周期がほぼ順調になるまでの期間(わが国ではだいたい8~9歳から17~18歳ごろまで)をいう.日本産科婦人科学会の用語委員会では「思春期とは性機能の発現,すなわち乳房発育,陰毛発生などの第二次性徴の出現に始まり,初経を経て第二次性徴が完成し,月経周期がほぼ順調になるまでの期間をいう」と定義している.乳房発育が11歳まで,恥毛発育が13歳まで,初経が14歳までにみられないものを遅発思春期とする.日本産科婦人科学会の定義では15歳以上で初経の発来したものを遅発月経,18歳になっても初経が起こらない者を原発性無月経としている.
体質上の単純遅延は約15%あり,その後正常な思春期過程をとることが多く,多くの女子は正常成人身長に達して,経過観察のみで治療の対象とはならない.待機的に経過観察中は原発性無月経と遅延との鑑別は困難である.
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