今月の臨床 女性診療科外来プラクティス
V 思春期外来
1. 思春期早発・遅発
田坂 慶一
1
,
橋本 香映
1
,
清水 彰子
1
1大阪大学医学部産科学婦人科学
pp.531-535
発行日 2006年4月10日
Published Date 2006/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100095
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1 はじめに
思春期とは身体的に未熟な小児期から性的に成熟した成熟期への移行期間をいう.この時期は身長の著しい増加があるが,最も特徴的な変化は性徴の変化で,性機能の発現開始,すなわち乳房発育ならびに陰毛発生などの第二次性徴出現に始まり,初経を経て第二次性徴の完成と月経周期がほぼ順調になるまでの期間をいう.その期間はわが国の現状では7~8歳ごろから17~18歳ごろまでになる.
思春期の身体的特徴は直接的,間接的に視床下部の成熟,生殖器への刺激,性ホルモンの分泌の結果として起こる.つまり,視床下部における性ホルモンに対する感受性の閾値が低下し,ゴナドトロピン,特にLH律動的分泌が夜に始まる.やがて昼間でもGnRHの律動的分泌が定着する.この作用を受けて,卵巣の卵胞が発育し,エストロゲン分泌地が増加する.増加したエストロゲンはやがて二次性徴を促し,初経を引き起こし,やがて視床下部─下垂体にポジティブ・フィードバックに作用しLHサージをもたらし,排卵性月経周期が確立する(図1).
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