今月の臨床 静脈血栓塞栓症─予防・診断・治療
産科領域での静脈血栓塞栓症の予防策
早田 裕
1
,
増山 寿
1
,
平松 祐司
1
1岡山大学大学院医歯薬学総合研究科産科・婦人科学教室
pp.118-121
発行日 2011年2月10日
Published Date 2011/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102563
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はじめに
妊娠に関連する静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism : VTE)の発症リスクは非妊娠時よりも5倍以上高く,また妊娠のどの時期でも発症するとされている1).血液凝固系の亢進,妊娠子宮による静脈圧迫など正常妊娠自体がVTEのリスク因子である上に,不育症の原因となる血栓性素因(抗リン脂質抗体症候群,プロテインC欠乏症,プロテインS欠乏症,ATIII欠乏症など),切迫早産加療のため長期ベッド上安静,帝王切開術後などはさらにハイリスク因子となる.産科的肺塞栓症はいまだ妊産婦死亡の上位を占める原因であるため,産科領域において肺血栓塞栓症(pulmonary thromboembolism : PTE)およびその主な原因である深部静脈血栓症(deep vein thrombosis : DVT)の予防は妊産婦死亡を減少させるうえで不可欠である.
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