今月の臨床 ハイリスク妊娠─ここがチェックポイント
妊娠のリスク診断と管理の実際
2.妊娠中・後期のチェックポイント 7)偶発徴候のリスク評価と対応
井出 哲弥
1
,
佐々木 禎仁
1
,
池田 智明
1
1国立循環器病センター周産期・婦人科
pp.1425-1429
発行日 2010年10月10日
Published Date 2010/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102482
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はじめに
偶発徴候のリスクの評価,対応の際には妊娠中であることを考慮する必要があり,特に留意すべき点を以下に記載する.
1. リスク評価
解剖 : 子宮の増大とともに腹部臓器の解剖的位置関係に変化が生じる.
血液検査 : 非妊娠時と妊娠時では正常範囲が異なる場合がある.
画像検査 : 原則的には非妊時と同様の検査を行うと念頭におく必要がある.非侵襲的で簡便なものから行っていき,超音波断層法が可能なら主体となる.単純X線,MRI,CTなどを必要とする症例もあり,また妊娠中の造影X線検査,CTなどの安全性についてはほかに代替の検査法がなく手術,処置の決定を左右する場合に十分な説明のうえ施行する.
2. 対応
薬剤 : 胎児への影響を考慮する必要がある.
外科手術 : 妊娠中の偶発合併症に関して外科手術が必要となった後方視的な報告1)によるとa妊娠中の麻酔,手術により死産や児奇形の危険は増加しない.b極低出生体重児出生の危険は増加するとされており,これらのことをふまえて他科と相談し治療方針を決定していく必要がある.
その他 : 治療方針に関しては,母体生命優先が原則である.
腹痛,頭痛,発熱を呈する合併症につき以下に概説する.
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