今月の臨床 ハイリスク妊娠─ここがチェックポイント
妊娠のリスク診断と管理の実際
2.妊娠中・後期のチェックポイント 5)多胎妊娠のリスク評価と管理
中田 雅彦
1
1社会保険徳山中央病院産婦人科
pp.1413-1417
発行日 2010年10月10日
Published Date 2010/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102480
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はじめに
わが国における多胎妊娠の年間分娩件数は人口動態調査によると1999年には11,962分娩であり,以後若干の変動は認めるものの2008年には11,684分娩となっている.中でも双胎がその大半を占め,11,606分娩から11,496分娩とその数はほとんど変化を認めない.これは年間分娩件数の約1.1%で,総分娩数の増加に比較して,不妊治療の影響により若干割合は増加しているといえる.一方,品胎は341から181分娩と減少傾向を求め,生殖補助医療における胚移植数の制限などの対策の効果が現れていると思われる.
多胎妊娠は,単胎妊娠と比較して胎児数が複数であるという点でさまざまな妊娠に一般的なリスク因子を有していると同時に,一絨毛膜性双胎などに代表される膜性によるリスク因子を有するため,その2点に大別してリスク評価を行うことが重要である.まず絨毛膜数より,一絨毛膜性(monochorionic : MC)双胎・二絨毛膜性(dichorionic : DC)双胎を鑑別し,MC双胎であれば,1絨毛膜1羊膜性双胎〈monochorionic monoamniotic(MM)双胎〉,1絨毛膜2羊膜性双胎〈monochorionic diamniotic(MD)双胎〉の診断を行う.MC双胎の場合には,双胎妊娠における一般的リスクとともに特有の合併症を併発する可能性を考慮して評価することが大切である.
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