今月の臨床 これを読めばすべてわかる―最新の産婦人科超音波診断
VI 新しい超音波技術の展望
FMDによる血管内皮機能の評価と妊娠高血圧症候群の予知
鈴木 真
1
1亀田総合病院産婦人科
pp.793-797
発行日 2010年4月10日
Published Date 2010/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102376
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妊娠中の全身血管抵抗の低下は血管内皮細胞から分泌される一酸化窒素(nitoric oxide : NO)が関与しているとされ,妊娠に伴う循環血液量増加による血管のずれ応力(sheer stress)が血管内皮細胞でのNO合成と分泌を促し,血管平滑筋を弛緩させるためと考えられている.一方,血管内皮機能障害は,虚血性心疾患,高血圧,心不全,糖尿病,喫煙,周産期関連領域では妊娠高血圧症候群などさまざまな疾患に関係していることが報告されており,その病態を評価する方法の開発が望まれていた.FMD(flow mediated dilatation)は疎血後の再還流による反応性血流増加(reactive hyperemia)とそれに伴うNOが関与した血管拡張を超音波診断装置により計測することにより血管内皮機能を低侵襲で,リアルタイムに定量化することが可能であり,注目されている.本稿では超音波断層法による妊婦上腕動脈FMD計測の実際と臨床応用について述べる.
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