今月の臨床 これを読めばすべてわかる―最新の産婦人科超音波診断
IV 産科における超音波診断─妊娠中・後期
[胎盤異常の診断]
2.癒着胎盤
桑田 知之
1
,
松原 茂樹
1
1自治医科大学産科婦人科学講座
pp.700-703
発行日 2010年4月10日
Published Date 2010/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102359
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癒着胎盤は,産後の子宮全摘や母体死亡の原因となる代表的疾患の1つである1).組織学的には床脱落膜の欠損があり,絨毛組織が子宮筋層内に入り込み,胎盤の一部もしくは全部が子宮に強く癒着する.無理に胎盤剥離をしたり,胎盤部分剥離が起これば,大出血し,それに伴ってショック・DICなどが起こる.近年,帝王切開率の増加などが一因となり,癒着胎盤の頻度が増加してきた.前回帝王切開部に胎盤が付着している場合,特に前壁前置胎盤例では,癒着胎盤かどうか,診断に迷う症例が多くなってきている.一般的に診断は超音波断層法が用いられるが,近年MRIも診断に有効とする報告が散見される2~4).が,癒着胎盤の術前確定診断は現状では難しい面がある.画像診断上,癒着胎盤に特徴的ないくつかの所見が指摘されているが,false positiveも多いためである.しかし,手術中に癒着胎盤に遭遇したときの影響が大きいため,スクリーニングをして『疑ってかかる』姿勢は臨床上きわめて重要である.本稿では,超音波検査における癒着胎盤の特徴について解説する.
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