今月の臨床 これを読めばすべてわかる―最新の産婦人科超音波診断
IV 産科における超音波診断─妊娠中・後期
[胎児の血流計測と循環機能評価]
5.不整脈の診断
根木 玲子
1
1国立循環器病センター周産期治療部
pp.691-695
発行日 2010年4月10日
Published Date 2010/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102357
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
胎児不整脈は,妊婦健診での胎児超音波検査で偶然発見されたり,胎児心拍数モニター施行時に発見されることが多い.胎児不整脈には,期外収縮,胎児頻脈,胎児徐脈に大別される.特に,胎児頻脈による循環不全に対しての胎内治療の効果は,古くから報告が知られている.
不整脈の一般的な診断には心電図が不可欠である.しかし,胎児期には特殊な方法を用いないと,直接心電図を記録することができない.例えば,母体体表からの胎児心電図,胎児直接心電図,胎児心磁図などであるが,臨床的には一般に普及していない.このような状況下で,胎児超音波診断は有用である.さらに,Mモード法による心収縮率の評価やカラードプラ法による弁逆流,心拡大の程度や胎児水腫の有無など,胎児の心機能評価という点からも有用である.胎児不整脈の超音波診断には,心房と心室の収縮を,それぞれ心電図におけるP波とQRS波に相当させ,その関係から診断する.具体的な診断方法を,以下に記載する.
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.