今月の臨床 これを読めばすべてわかる―最新の産婦人科超音波診断
III 産科における超音波診断─妊娠初期
稽留流産の診断
坂井 昌人
1
1東京女子医科大学八千代医療センター,母性胎児科
pp.526-529
発行日 2010年4月10日
Published Date 2010/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102335
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妊娠初期の流産の原因は後期の流産とは異なり,その多くが胎芽の異常であることが知られている.なかでも胎芽の染色体異常は流産例の50%以上(報告によっては70%)にみられるという.初期流産の大半は正常な胎芽の発育・生存がみられないものである.子宮内に胎嚢が確認された場合,その後に流産となるのは11.5%,卵黄嚢が認められれば8.5%,5mm以上の胎芽が認められれば7.2%,CRL6~10mmなら3.3%,CRL10mmを超えれば0.5%と妊娠進行の所見とともに流産の可能性は減少する1).
稽留流産(missed abortion)とは本来,死亡した胎児などの流産組織が排出されずに子宮内に留まり,無症状のまま経過している状態を指す.現在は初期流産の状態である枯死卵(blighted ovum)または胎芽死亡(embryonic demise)を指す言葉として使われている.
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