今月の臨床 QOLを考慮した婦人科がん治療
【妊孕能温存】
2.子宮頸部上皮内腺癌,微小浸潤腺癌の子宮温存の適応と限界
森岡 幹
1
,
九島 巳樹
2
,
岡井 崇
1
1昭和大学医学部産婦人科学教室
2昭和大学病院病院病理科
pp.1491-1494
発行日 2009年12月10日
Published Date 2009/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102229
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はじめに
子宮頸癌は,ヒト乳頭腫ウイルス(human papillomavirus : HPV)による関与が明らかにされてからは,ハイリスクHPVによる性行為感染症であるととらえられている1).近年,子宮頸癌は増加傾向にあり,また,若年者の性行動の時代的変化により特に20代,30代の増加率が高い.子宮頸癌の発症年齢の若年化と晩婚化による出産年齢の高齢化により,子宮温存治療が求められる場面が増加している.2007年度子宮頸癌患者年報によると,0期+I期が子宮頸癌全体の77.3%を占め,円錐切除施行率が0期で77.2%,Ia期で51.1%と明らかに増加してきており2),子宮温存の適応が広がっていることがみてとれる.
子宮頸癌初期病変の子宮温存の適応は,子宮頸癌治療ガイドライン3)に具体的に記載されており,以前に比べ治療方針が明確にされてきている.しかし,子宮頸部腺癌についてはその病理組織像のみならず,組織発生,生物学的特性など不明な点が多い.
ここで若干の文献的考察を加え,子宮頸部上皮内腺癌,微小浸潤腺癌の妊孕性温存の適応について述べる.
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