今月の臨床 妊娠高血圧症候群と関連疾患
【関連疾患の病態と管理】
7.深部静脈血栓症と肺塞栓症
小林 隆夫
1
1県西部浜松医療センター
pp.1308-1313
発行日 2009年10月10日
Published Date 2009/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102199
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はじめに
静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism:VTE)はこれまでわが国では比較的稀であるとされていたが,生活習慣の欧米化などに伴い近年急速に増加している1~3).血栓症で臨床的に問題となるのは,深部静脈血栓症(deep vein thrombosis:DVT)とそれに起因する肺血栓塞栓症(pulmonary thromboembolism:PTE)である.PTEはDVTの一部に発症する疾患であるが,一度発症するとその症状は重篤であり致命的となるので,急速な対処が必要となる.妊娠中は以下の理由で,VTEが生じやすくなっている.すなわち,1)血液凝固能亢進,線溶能低下,血小板活性化,プロテインS活性低下,2)女性ホルモンの静脈平滑筋弛緩作用,3)増大した妊娠子宮による腸骨静脈・下大静脈の圧迫,4)帝王切開などの手術操作による総腸骨静脈領域の血管(特に内皮)障害および術後の臥床による血液うっ滞,などである.
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