今月の臨床 ここが聞きたい―不妊・不育症診療ベストプラクティス
III 不育症の検査・診断 C子宮因子
【頸管無力症】
96.頸管無力症の診断基準・診断方法について教えてください.
宮川 智幸
1
1宮川医院産婦人科
pp.634-635
発行日 2009年4月10日
Published Date 2009/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102085
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[1]はじめに
頸管無力症(cervical insufficiency,cervical incompetence:CI)とは,「妊娠16週以降にみられる習慣流早産の原因の1つである.外出血とか子宮収縮などの,切迫流早産徴候を自覚しないにもかかわらず,子宮口が開大し,胎胞が形成されてくる状態である」と定義されている1).しかし,誰もが認めるCIの明確な診断基準はなく,その診断方法も正確なものは存在しないのが現状である.従来,妊娠中期の流早産既往歴や子宮口開大・胎胞脱出などの内診所見をもって,臨床的にCIと診断していたが,早産予防は難しく,もっと早い段階での診断が望まれた.早産予知のために,経腟超音波検査による子宮頸部の評価が連続的・客観的に可能となり,切迫流早産徴候を伴わない頸管短縮例や内子宮口の開大(funneling)例を広義のCIに含めるようになった.CIの疾患概念そのものが変化し,必ずしも切迫流早産との鑑別は容易でなくなっている.
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