今月の臨床 ここが聞きたい―不妊・不育症診療ベストプラクティス
II 不妊の治療 C人工授精
【人工授精の方法】
64.精液の濃縮は人工授精で妊娠率を向上させるのでしょうか.詳しく教えてください.
西川 明花
1
,
丸山 哲夫
1
,
吉村 泰典
1
1慶應義塾大学医学部産婦人科学教室
pp.538-539
発行日 2009年4月10日
Published Date 2009/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102053
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配偶者間人工授精(artificial insemination with husband's semen:AIH)は,夫の精液および精子を人工的に妻の性器内に注入する方法であり,一般的には子宮腔内人工授精(intrauterine insemination:IUI)が行われる.
IUIは体外受精と比較して低侵襲であることに加え,自然周期においても,クロミフェンやhMG,rFSHによる卵巣刺激周期においても施行可能であり,時間的・経済的に制約が少ないことから,実際の不妊治療の流れにおいて自然妊娠,タイミング法で妊娠に至らない場合にARTに移行する前のステップとしてIUIが選択される頻度が高い.特に男性因子による不妊症に対して,重度の症例については卵細胞質内精子注入法(intracytoplasmic sperm injection:ICSI)が選択されるが,上記の理由から軽度の乏精子症や精子の運動率不良症例については多くの施設においてIUIが第一選択で行われているのが現状である.
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