今月の臨床 多胎妊娠―母児のリスクとその管理
双胎間輸血症候群の管理と治療
中田 雅彦
1
1山口大学医学部附属病院周産母子センター
pp.245-249
発行日 2009年3月10日
Published Date 2009/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101979
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はじめに
双胎間輸血症候群(twin─twin transfusion syndrome:TTTS)は,1絨毛膜2羊膜性(monochorionic diamniotic:MD)双胎の約10%に発症する疾患で1, 2),1絨毛膜性胎盤に存在する吻合血管を介して両胎児間の血流不均衡が生じているのが病態である.一児は循環血液量が増加するために高血圧となり,腎血流量の増加によって多尿をきたし結果的に羊水過多となるとともに,うっ血性心不全が進行すれば胎児水腫に進行する場合もある(受血児).他児は循環血液量が減少するため腎血流量は減少し乏尿となり,結果的に羊水過少となる(供血児).つまり,TTTSの主たる病態は循環血液量の不均衡であり,児の固有の胎盤面積によって影響を受けるdiscordant twinと混同を避けることが大切である.なお,品胎妊娠などのいわゆるhigh─order multiple pregnancyの場合にも膜性において複数の胎児間で交通が認められるようであれば同様の病態が引き起こされる.以下,主に双胎の場合に限定して解説する.
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