増刊号 新しい臨床検査・未来の臨床検査
各論
5.感染症検査
16 淋菌核酸増幅同定精密検査
村谷 哲郎
1
,
松本 哲朗
1
1産業医科大学医学部泌尿器科
pp.1291-1292
発行日 2006年10月15日
Published Date 2006/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101115
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はじめに
N. gonorrhoeae(淋菌)はChlamydia trachomatisと並んで,性感染症の主要起炎微生物である.宿主はヒトで,性行為により感染するグラム陰性双球菌である.患者数は10年前と比較すると明らかに増加しており,若年女性での増加が顕著である.主な感染部位は子宮頸管と男性尿道である.男性の場合,激烈な排尿痛を伴い発症する場合が大半を占めるが10%程度は無症候に経過する.女性の場合は多くの場合,不顕性感染であるが,男性と同様に強い尿道炎を発症することも少なくない.不顕性感染が放置されると感染源となるため感染拡大の原因となるだけでなく,男性では精巣上体炎,前立腺炎,女性では卵管炎などの骨盤内炎症性疾患という重症感染症を引き起こす可能性があるため,早期に適切な診断がなされ除菌されるべき微生物である.近年性行動の多様化を反映して咽頭や直腸に感染している症例も多く,感染源となっている.
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