今月の臨床 産科出血―診断・治療のポイント
胎盤ポリープ
中塚 幹也
1,2
1岡山大学大学院保健学研究科
2岡山大学医学部・歯学部附属病院産婦人科
pp.78-81
発行日 2009年1月10日
Published Date 2009/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101946
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はじめに
胎盤ポリープとは,分娩,流産,妊娠中絶などの後に子宮内に遺残した胎盤が変性,フィブリン沈着,硝子化を伴い器質化しポリープ状に増大したものである.妊娠終了後にも断続的に性器出血がみられ,大量出血を起こすこともある.妊娠終了後,数日から数週間で発症することが多いが,分娩後,何年か経過して発症したとの報告もある1).
胎盤ポリープの原因として癒着胎盤は重要である.このため,胎盤絨毛の子宮筋層内への侵入を容易にする子宮内膜損傷を起こす子宮手術,また胎盤遺残の起こりやすい子宮腔の形態異常,副胎盤や分葉胎盤などは癒着胎盤を起こしやすく,胎盤ポリープ発生のリスク因子になると考えられる.
子宮内腔に遺残した胎盤組織が遊離していれば,自然に排出されるか,機械的な掻爬により容易に除去されるが,血流のある胎盤ポリープに対して安易に子宮内掻爬術を行うと出血を起こす.このため,産後,流産・中絶後に胎盤遺残などの異常を早期に発見し,患者自身へも胎盤ポリープ発生のリスクを伝え,受診を促すことは重要である.
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