今月の臨床 産科出血―診断・治療のポイント
子宮外妊娠
1.卵管妊娠
堤 誠司
1
,
逸見 典子
1
,
倉智 博久
1
1山形大学発達生体防御学講座女性医学分野
pp.17-21
発行日 2009年1月10日
Published Date 2009/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101934
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
卵管妊娠の疫学
子宮外妊娠は妊娠のおおよそ1%と報告され,そのうち卵管妊娠の占める割合は,自然妊娠において98.3%,生殖補助技術(assisted reproductive technology : ART)後の妊娠において82.2%である1).感染,炎症,外科手術の既往などが危険因子となり,卵管に障害が生じる.卵管内腔および卵管采の障害によるものが大半を占め,自然妊娠における子宮外妊娠は膨大部が79.6%,卵管采が6.2%であるのに対し,ART後の子宮外妊娠では膨大部が92.7%に及ぶ1).独立した子宮外妊娠の危険因子としては,次の項目が挙げられる2).
1. 骨盤内炎症性疾患(PID)の既往
クラミジア腹膜炎は最も重要な起炎菌であり,卵管妊娠の7~30%で認められると報告されている3, 4).
2. 子宮外妊娠既往
卵管妊娠の保存手術後の子宮外妊娠反復率は13%である.
3. 経口避妊薬と子宮内避妊用具(IUD)使用者
経口避妊薬服用既往のある者の子宮外妊娠のリスクは上昇しない5).IUDはリスク因子とされてきたが6),最近の知見ではIUDは子宮外妊娠のリスクは上昇させないとのレビューもある7).
4. 卵管形成術後
総じて卵管形成術後の子宮外妊娠発症率は2~7%と報告されている.
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.