今月の臨床 産科出血―診断・治療のポイント
前置胎盤
依岡 寛和
1
,
神崎 秀陽
1
1関西医科大学医学部産婦人科
pp.49-51
発行日 2009年1月10日
Published Date 2009/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101940
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
前置胎盤は,近年,帝王切開術の増加に伴い増加傾向にある.本疾患は産科疾患のなかでも最も慎重な対応を要する合併症の1つと考えられる.その診断については以前では内診所見をもって診断の手がかりとしていたが,超音波断層検査機器の進歩によって多くは妊娠30週以前に診断がつくようになってきた.しかし,その管理についていまだゴールデンスタンダードは存在せず,自己血輸血をはじめとして術式の工夫など各施設それぞれが出血に対応しているのが現状である.特に癒着胎盤を合併している場合には,術前診断の難しさに加え強出血を伴うことも多く,子宮全摘を余儀なくされることも多いが,その手術自体も困難を伴う.
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.