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はじめに
胎児well─beingの評価は,胎児の的確な状態把握と治療の選択,さらに分娩時期の決定を行い周産期罹病率と周産期死亡率を低下させることが目的である.Well─beingの評価に有用な検査法の条件は,sensitivityならびにspecificityが高く,検査が簡便で,短時間で実施可能であり非侵襲的なことである.現在行われている胎児well─beingの評価法として,超音波による胎児計測・羊水量計測・胎児血流計測(パルスドプラ法),母体自覚胎動カウント,NST,CST,VAS,BPS(biophysical profile scoring)がある.最も簡便で広く行われているNSTでは,胎児心拍数変化のみで判断するため偽陰性率は低いが偽陽性率が高い.特に観察時間が短いと偽陽性率ならびに偽陰性率ともに高くなる.また,NSTで一過性頻脈が存在しreactiveであれば胎児のアシドーシスは否定的であるが,non─reactiveであった場合でも90%が偽陽性であるとされており,正確な胎児状態の把握のために追加検査が必要であり,VAS(vibro acoustic stimulation),CST,BPSなどが行われている.
これらのback─up testのなかから本稿では,Manningら1)によって提唱されたBPSについて解説する.BPSでは,三種類の胎児運動を超音波で検出し,胎児中枢神経の活動性を反映したものとしている.さらに低酸素状態の持続により血液再配分が発生し,胎児腎血流量減少による尿量減少,羊水量減少を慢性ストレスを反映したものとして,これらにNSTを合わせることによって測定し擬陽性率を低下させている.
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