今月の臨床 胎児機能不全
【胎児機能不全の原因】
2.胎児因子
小野 恭子
1
,
菊池 昭彦
1
1長野県立こども病院総合周産期母子医療センター産科
pp.1527-1529
発行日 2008年12月10日
Published Date 2008/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101917
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はじめに
胎児のwell─beingの評価において“胎児の状態が悪い”ことを指す用語として,日本産婦人科学会周産期委員会は2001年の報告で“胎児ジストレス(胎児仮死)”に代わって“non─reassuring fetal status”という用語を使用することを提案し,また2006年には“non─reassuring fetal status”に相当する邦語として“胎児機能不全”を提唱した1).“胎児機能不全”の概念としては,「胎児の状態を評価する臨床検査において“正常ではない所見”が存在し,胎児の健康に問題がある,あるいは問題が生じるかもしれないと判断された場合」であり,従来の“胎児ジストレス(胎児仮死)”よりも幅の広い状態を指す.これに対し,同委員会の胎児機能不全の診断基準の作成と妥当性の検証に関する小委員会は,分娩中の胎児心拍数パターンを警戒の程度に応じて分類し,対応処置のガイドライン(案)2)を作成し,そのなかで心拍数波形分類に基づいた“胎児機能不全”の診断基準を定義しているが,これにより“胎児機能不全”という用語がより狭義に,明確に定義づけされていくと思われる.
このように,“胎児機能不全”は,基本的には胎児心拍数図(cardiotocogram : CTG)を中心に診断される.ここでは,胎児機能不全の胎児因子について,CTG異常をきたしうるという視点から項目を提示し,それぞれ概説する.
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