連載 教訓的症例から学ぶ産婦人科診療のピットフォール・36
妊娠後期に尿崩症を合併した1例
中島 彰
1
,
山﨑 香織
1
,
長橋 ことみ
1
,
原 信
1
,
松下 良伯
1
1磐田市立総合病院産婦人科
pp.1229-1232
発行日 2008年9月10日
Published Date 2008/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101863
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
症 例
患 者 : 36歳,未経妊
既往歴・家族暦 : 特記すべきことなし.
現病歴 : 妊娠30週ごろより多飲,多尿,発汗低下,食欲不振,嘔気,胃痛などを自覚していた.妊娠32週の妊婦検診ではAFI5~6と羊水過少を認めた.検診時およびそのほかの受診時に消化器症状の訴えはあったが,多飲,多尿などの話はなかったため,肝機能などを血液検査で精査し異常がないことを確認し補液治療が施行されていた.
妊娠34週の妊婦検診時に,上記症状に加えて血圧上昇(141/91 mmHg)を認めたため,入院を指示した(尿蛋白 : 陰性,浮腫 : 認めず).
入院時現症 : 意識清明,身体所見に異常はなく,血圧138/90 mmHg,脈拍90/分,体温36.9℃であり,自覚症状に変わりはなかった.
超音波所見 : 胎児推定体重2,285 g,AFI6.5 cm,NST所見はreassuring fetal statusで,羊水過少を認める以外は順調であった.
検査所見 : 表1に示したように貧血所見,肝・腎機能に異常はなく,Ht,血清NaおよびCl値がやや高値である以外は異常を認めなかった.また,甲状腺機能にも異常は認めなかった.
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.