今月の臨床 妊産婦の薬物療法―あなたの処方は間違っていませんか
【よく使われる薬剤と処方の実際】
1.抗菌剤,抗ウイルス薬
平松 祐司
1
1岡山大学大学院医歯薬学総合研究科産科・婦人科学教室
pp.1166-1169
発行日 2008年9月10日
Published Date 2008/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101852
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はじめに
本稿では妊娠時に問題となる性感染症sexually transmitted disease(STD)およびその他の感染症に対する抗菌剤,抗ウイルス薬投与について概説する.STDは,性行為によってパートナーに感染する疾病をいい,現在では30種類以上の微生物が性行為によって伝搬することが知られている.わが国では,平成11年4月から施行(平成15年11月改訂)された「感染症の予防および感染症の患者に対する医療に関する法律」のもとに,五類感染症の定点把握疾患として性器クラミジア感染症,性器ヘルペスウイルス感染症,尖圭コンジローマ,淋菌感染症の4種類,および全数把握疾患として梅毒を合わせた5種疾患の発生動向調査が行われている.STDは,初交年齢の若年化により,性感染症の増加,蔓延科が大きな問題になっている.
妊娠時にSTDが発見されることも多く,われわれが年2回岡山県の全産婦人科施設を対象に実施している調査でも妊娠合併例は15.0~23.5%の頻度で発見された(表1)1).疾患としてはやはり性器クラミジア感染症がほとんどで,61.9~81.2%の頻度であった.ついで多いのが性器ヘルペス感染症と尖圭コンジローマであり,淋病,梅毒の頻度は低かった1).
このたび作成された,「産婦人科診療ガイドライン産科編2008」2)でも妊娠中の主な感染症への対応が記載されているため参照していただきたい.
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