連載 教訓的症例から学ぶ産婦人科診療のピットフォール・33
妊娠27週で子宮破裂に至った前置癒着胎盤の1例
山田 新尚
1
,
小坂井 恵子
1
,
日江井 香代子
1
,
水野 智子
1
,
小野木 京子
1
,
田上 慶子
1
,
佐藤 泰昌
1
,
横山 康宏
1
,
今井 篤志
2
1岐阜県総合医療センター産婦人科
2岐阜大学医学部産科婦人科学教室
pp.875-878
発行日 2008年6月10日
Published Date 2008/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101800
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症例
患 者 : 34歳,4経妊・3経産
既往歴 : 2000年3月に妊娠高血圧症候群,帝王切開,2002年2月に反復帝王切開,2005年1月に反復帝王切開.人工妊娠中絶術が1回あるが,時期は不明である.
現病歴 : 近医にて前置胎盤を指摘され,紹介にて2007年6月上旬に初診(13週3日)となった.妊娠継続の危険性をインフォームド・コンセントののち,外来管理とした.9月上旬(27週2日),突然の持続する腹部の激痛のために緊急入院した.
入院時現症 : 〔表情〕苦悶様,努力呼吸,発汗著明,〔血圧〕140/80 mmHg,〔腹部〕緊満(++),右下腹部の圧痛著明,腸蠕動音弱,金属音なし,〔Blumberg〕陰性,背部叩打痛あり,性器出血なし.
検査所見 : 〔白血球〕7,700/μl,〔Hb〕10.5 g/dl,〔血小板〕23.7万/μl,〔CRP〕0.40 mg/dl,肝機能,腎機能,血液凝固系はいずれも正常範囲内であった.〔尿潜血〕陰性であった.〔経腟超音波所見〕子宮頸管の開大や短縮はなかった.Sonolucent zoneの消失とカラードプラ法にて血流豊富な絨毛間腔placental lakeを認めた(図1).〔CTG〕 Reassuring fetal status : 2~3分間隔で規則的な子宮収縮があった.
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