今月の臨床 産婦人科臨床の難題を解く─私はこうしている
III 婦人科癌治療
【子宮体癌】
5.子宮体癌における術後補助療法は?
山川 洋光
1
,
今野 良
1
1自治医科大学附属さいたま医療センター産婦人科
pp.604-611
発行日 2008年4月10日
Published Date 2008/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101752
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1 はじめに
子宮体癌に対する治療の第一選択は手術療法である.標準術式として,子宮全摘,両側付属器摘出,骨盤および傍大動脈リンパ節郭清/生検,腹腔洗浄細胞診などが行われる.子宮体癌の術後補助療法は個々の症例の再発リスク評価に基づいて,再発制御と生存率改善を目的に決定される1).
子宮体癌の治療戦略は,欧米と本邦において若干の違いがある.本邦では術前に可能な限り詳細に臨床進行期を決定し,それにより手術療法の個別化をはかるとともに,後腹膜リンパ節郭清を積極的に行う傾向がある.そのため術後補助療法は,放射線よりも化学療法を選ぶ傾向にある.また,腟壁を十分に切除するので,欧米ではしばしば行われる腔内照射を施行することは少ない.一方,欧米では初回治療は単純子宮全摘出術および両側付属器摘出術を行い,その摘出標本の病理組織学的検討から再発リスクを評価し,リスク別に術後補助療法を選択している.リンパ節郭清に関しては生検にとどめたり,省略することもある.また,腟壁の再発を防止するために腔内照射が行われている.これには従来は放射線療法が主治療に行われていたという背景がある.
術後補助療法のrandomized controlled trial(RCT)は多くは欧米からの報告であることから,報告される術後治療指針は本邦の現状とは乖離していることも多い.
本稿では,子宮体癌の術後補助療法の現況,および当科で行っている術後補助療法の実際について述べる.
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