今月の臨床 産婦人科臨床の難題を解く─私はこうしている
III 婦人科癌治療
【子宮頸癌】
6.子宮頸癌における頸部摘出術の適応と問題点は?
福地 剛
1
1池上総合病院婦人科
pp.577-581
発行日 2008年4月10日
Published Date 2008/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101747
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1 はじめに
いくつかの施設から報告されているように,あるいは実際の臨床で実感されるように,若年子宮頸癌患者が増加し,妊孕能温存治療を検討することが増えてきた.先ごろ発刊された「子宮頸癌治療ガイドライン」にもあるように,臨床進行期Ia1期までの微小浸潤扁平上皮癌症例に対する円錐切除術の適応に関しては広くコンセンサスが得られているが,それ以上の病変に対しては根治的な治療が行われており,また子宮頸部初期腺癌に関しては現在のところ,ごく限定された症例のみが温存の対象と考えられている1).したがって,現状では臨床進行期Ia2期以上の扁平上皮癌と0期を除く初期腺癌に関してはリンパ節郭清を含めた根治的な子宮摘出手術が標準治療として行われ,この場合,通常の妊孕能は喪失することになる.
Radical trachelectomy(広汎性子宮頸部摘出術)は根治治療の対象となる臨床進行期Ia2あるいはIb1期の浸潤子宮頸癌症例に対する妊孕能温存術式として開発され,最近日本においても報告が散見されるようになってきた.先の「ガイドライン」おいて本術式はIa2期に対するオプションとして記載されるにとどまったが,実際には複数の施設で広く適応されつつある.本稿においては,術式の歴史,適応,治療成績を概説し,さらに問題点についても触れたい.
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