今月の臨床 産婦人科臨床の難題を解く─私はこうしている
I 周産期管理
【妊娠管理】
7.一絨毛膜性双胎一児死亡の取り扱いは?
渡辺 博
1
1獨協医科大学産婦人科
pp.393-397
発行日 2008年4月10日
Published Date 2008/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101716
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1 一絨毛膜性双胎とそのリスク
一絨毛膜性双胎(monochorionic diamniotic twins : MD双胎,ないしはmonochorionic monoamniotic twins : MM双胎)は一卵性双胎(monozygotic twins)であり,二卵性双胎(dizygotic twins)は二絨毛膜性双胎(dichorionic diamniotic twins : DD双胎)である.このことは自明の理とされていたが,近年,生殖補助医療による妊娠で,一絨毛膜性二卵性キメラ双胎(monochorionic dyzygotic twins)の存在が報告され,一部に混乱を生じている.
通常一卵性双胎の75%前後が一絨毛膜性であり,残りは二絨毛膜性である.双胎妊娠では早産・低出生体重児と先天異常の出生頻度が単胎妊娠に比較して高い.また両児の発育差(discordant twins),一児死亡,両児死亡,一児娩出後の妊娠継続など双胎に特有の特殊な状況に加えて,一絨毛膜性双胎では双胎間輸血症候群(twin─twin transfusion syndrome : TTTS)やacute feto─fetal hemorrhage,無心体双胎など一絨毛膜性双胎に特有の合併症をきたすことがある.さらに,一絨毛膜性双胎の1%が両児間に隔膜の存在しない一羊膜性双胎(MM双胎)であり,結合体双胎や臍帯の相互巻絡による胎児突然死のリスクが加わる.
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