特集 周産期の画像診断 第3版
母体・胎児編 Ⅰ.超音波診断 F.多胎妊娠
一絨毛膜性双胎関連疾患(双胎間輸血症候群,双胎一時死亡,TRAP sequence)
村田 晋
1
MURATA Susumu
1
1山口大学医学部付属病院総合周産期母子医療センター
キーワード:
一絨毛膜性双胎
,
羊水深度
,
パルスドプラ法
,
胎児治療
Keyword:
一絨毛膜性双胎
,
羊水深度
,
パルスドプラ法
,
胎児治療
pp.174-179
発行日 2024年12月23日
Published Date 2024/12/23
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001838
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双胎間輸血症候群
双胎間輸血症候群(twin-twin transfusion syndrome:TTTS)は一絨毛膜性双胎の10~15%に発生する疾患である。一絨毛膜性胎盤の表面に存在する両児間の吻合血管を介して,血流の不均衡が原因で発症するとされている。血流の不均衡により循環血液量が減少した児(供血児)は腎血流量の低下から乏尿となり,羊水過少となる。もう一方の児(受血児)は循環血液量の増加から高血圧をきたし,腎血流量の増加によって多尿,羊水過多となる。増加した循環血液量が過剰となった場合,最終的に心臓の収縮能,拡張能を障害し,うっ血性心不全から胎児水腫に至る場合もある。周産期における最重症疾患であり超音波診断は非常に重要である。なお,一絨毛膜性双胎は厳密には一絨膜二羊膜性双胎と,一絨毛膜一羊膜性双胎があるが,後者は発生率が低く,原則一絨毛膜二羊膜性双胎の超音波診断について説明する。
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