今月の臨床 産婦人科臨床の難題を解く─私はこうしている
I 周産期管理
【妊娠管理】
6.パルボウイルスB19による胎児水腫の治療法は?
松田 秀雄
1
1防衛医科大学校産科婦人科学講座
pp.384-391
発行日 2008年4月10日
Published Date 2008/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101715
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1 パルボウイルスとは
ヒトパルボウイルスB19(以下,PB19)はParvoviridae familyのErythrovirus genusに属するウイルスである.PB19は1975年にB型肝炎のスクリーニングの途中で発見され,その際,パネルBの19番目のサンプル血液中に存在したことから,B19と名付けられた1).人間に感染しうるErythrovirusはPB19のほかにgenotype 2(A6)とgenotype 3(V9)がきわめて稀な存在として免疫不全個体から発見され,近年報告されているが,通常パルボウイルス感染症(リンゴ病)ではPB19を原因ウイルスとしてよい.ヒトのみがPB19の宿主となるので,家畜,ペットなどを通じて感染するものではない.
疾患としてPB19感染症が同定されたのは1981年であり,現在では,正常人においてリンゴ病・関節炎,妊婦において胎児水腫・子宮内胎児死亡,溶血素因のある免疫力の低下した個体において一過性骨髄無形成発作(transient aplastic crisis : TAC)などを引き起こすことが知られている.妊婦で感染が疑われる場合,胎児に意識が向きがちであるが,母体の症状にも注意が必要である.
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