今月の臨床 新生児の蘇生と管理
分娩室での蘇生
2.出生直後の評価とケア
真喜屋 智子
1
1沖縄県立中部病院総合周産期母子医療センター新生児科
pp.121-125
発行日 2008年2月10日
Published Date 2008/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101658
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はじめに
日本の新生児医療は飛躍的な進歩を遂げ,新生児死亡率は1.4人/1,000出生(平成17年)まで改善した.しかし,いまだに地域格差は大きく,死亡率に約3倍の開きがある.今後,新生児死亡率をさらに改善するためには,新生児仮死への対応が重要である.
出生前情報だけで,生まれてくる児の状態を完全に予測することは困難であり,突発的な事態に対応するために,すべての出産に,新生児蘇生に習熟したスタッフが立ち会うべきである.新生児蘇生はチーム医療であり,どのような判断や順序で蘇生を行うかチーム内で統一されていれば,よりスムーズに効果的な治療が行える.
米国では,小児科医だけでなく,産婦人科医や助産師など分娩に携わるスタッフにも新生児蘇生プログラム(neonatal resuscitation program:NRP)の習得を要求している.現在,このNRPを日本の実情に合う形で導入した新生児蘇生ガイドラインが作成され1),2007年より周産期医療関係者への研修がスタートしている.
本稿では,新しいガイドラインに沿って,主に正期産児の出生直後の評価とルーチンケアについて述べる.
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