特集 スタンダードとしての母乳育児を科学的・効果的に援助するために(上)
母乳育児:出生直後から入院中のケア
瀬尾 智子
pp.460-464
発行日 2002年6月25日
Published Date 2002/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902889
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
母乳育児を成功させるためには,出産前の教育や母親のモチベーションも大切であるが,日本ではほとんどの女性が産科施設内で出産し,出産後も数日その施設内に留まるので,その施設でどのようなケアがなされるかが母乳育児成功の鍵を握っていると言える。
母乳育児には学習が必要だが,現在の日本のような社会では,子どものころから自然に見よう見まねで母乳育児を学習するという環境にはない。したがって初めて出産した女性は,自分で経験しながら母乳育児の技能を習得していくことになる。いくら水泳の方法が書いてある本を読んでも実際に泳げるようになるわけではなく,水の中で練習して初めて泳げるようになるように,母乳育児も実際にやってみなければ習得することができない。やみくもに水の中でもがくよりは,有能なコーチについて訓練したほうが早く上手に泳げるようになるように,母乳育児援助法が科学的・効果的なものであれば,母乳育児の成功率が高くなるであろう。
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.