今月の臨床 子宮筋腫の治療―大きく広がった選択の幅
薬物療法
2.漢方薬
後山 尚久
1,2
1藍野学院短期大学
2藍野病院婦人科
pp.63-67
発行日 2008年1月10日
Published Date 2008/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101645
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はじめに
産婦人科医療はここ30年間に大きな変革を示した.なかでも生殖医療や内視鏡医療はその先頭を走る分野であろう.がん化学療法や周産期医療にも大きな進歩,変革がみられた.婦人科外科分野において,子宮筋腫はかつて子宮摘出手術か筋腫核核出手術しか治療法がなかったが,今では外科的手術(開腹によるもの,内視鏡下,腹腔鏡下で行うもの),子宮動脈塞栓術,MRガイド下集束超音波療法などの非薬物療法に加えて,女性ホルモン,GnRHアゴニストなどの薬物を組み合わせるなどの種々の治療法が実施されている.
子宮筋腫は多彩な症状を示し,患者それぞれの重症度の違いがみられるのみならず,それぞれの病期,患者の子宮機能の温存の希望の有無なども異なるため,治療法の選択肢が多いのは,受療者の側からは歓迎すべきものである.
漢方医学が子宮筋腫などの女性の腹部腫瘤の治療に挑戦をした歴史は古く,西洋医学よりも先に非観血的な治療の道を探っていたといえる.一般的には,現在の漢方薬はあくまでも子宮筋腫を消失,治癒させるものではないことを前提に,ADLを改善し,QOLの向上をはかることを目的として使用することができる1).漢方医学理論においては,子宮筋腫,子宮内膜症,子宮腺筋症を同源の病と解釈し,同じベクトルを有した漢方方剤で治療するのが一般的である2).
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