今月の臨床 月経前症候群と月経痛─どう対応するか
月経痛
機能性月経痛への対処法―漢方療法
後山 尚久
1
1大阪医科大学産婦人科
pp.1005-1008
発行日 2005年7月10日
Published Date 2005/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100373
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はじめに
漢方医学の症候論において,「月経痛」や「月経困難症」は一般的には独立した症状としては扱われない.通常,疼痛性症状として漢方治療の対象となるのは,「頭痛,肩の痛み,腹痛,腰痛,神経痛」などである.これらの治療薬としての漢方方剤の選択は,もちろん随証によるが,乱暴な見方をすると「駆お血生薬」を含む方剤がそれぞれの痛みの除去に用いられている.また,「利水生薬」も高い頻度で用いられている.ほかには「芍薬」,「桂枝」などが含まれることが多い.痛みの基本病態には,おおまかにいえば「お血」と「水毒」が関与しているといえるが,もちろん個々の症例によってさまざまであり,漢方医療の基盤としての個別的な対応が必要である.
月経痛は,漢方医学の理論からみれば月経困難症の1つの症状であり,基本的には,月経困難症を治療するなかで月経痛も解消させるという方向性としての漢方療法となる.
本稿では,月経痛に対して,漢方治療がどこまで有効なのか,その臨床応用は実際的なのか,ほかの治療法に比べてpriorityは高いのか,あるいは実際のレジメにはどのようなものがあるのかについて触れてみたい.
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