今月の臨床 産婦人科外来ベストナビゲーション
ここが聞きたい105例の対処と処方
VI そのほか
【不眠症】103.手術前,極度の緊張で夜眠ることができないという患者です.
平川 俊夫
1
,
和氣 徳夫
2
1真田産婦人科麻酔科クリニック
2九州大学大学院医学研究院生殖病態生理学
pp.649-651
発行日 2007年4月10日
Published Date 2007/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101536
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1 診療の概説
術前不安の存在は術中・術後の管理に大きく影響を及ぼすので,術前管理に当たっては患者の不安の程度に十分留意しその軽減に努めることが肝要である.実際,術前の不安は術中の代謝の亢進を惹起し,結果として麻酔薬に対する抵抗性を増し被刺激性を高めることにつながるとされている.術前不安が強いほど,術前・術中の脈拍数や血圧の変動は大きく,麻酔の導入・維持管理がより困難であり,より多量の麻酔薬・鎮痛薬を必要とし,術後に頭痛,嘔吐,疼痛などの後遺症を起こしやすく,また術後の入院期間が延長しやすい 1, 2).
術前不安は,患者自身のボディイメージ変化,機能喪失,麻酔薬の影響,術後疼痛などに対する不安に起因する 2).術後は自分自身で歩けるか,また排尿・排便処理ができるのかとの不安もあり,さらに帝王切開患者にあっては新生児ケア,母乳哺育が可能かなどの不安も大きい 3).婦人科手術を受ける患者については,その手術自体が女性のアイデンティティに深く影響を及ぼす行為であることから,術前不安にはとりわけ特に慎重に配慮する必要がある.
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