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ここが聞きたい105例の対処と処方
V 腫瘍
【子宮筋腫】84.がん検診の際に子宮に筋腫様の腫瘤がみつかった55歳の患者です.現在,特に症状はありません.
京 哲
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1金沢大学大学院医学系研究科産婦人科
pp.598
発行日 2007年4月10日
Published Date 2007/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101517
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1 診療の概説
閉経期にみつかった無症状の筋腫様腫瘤では,(1)閉経前から存在した子宮筋腫の残存,(2)子宮内膜癌,子宮肉腫などの悪性腫瘍の可能性を,念頭に置く必要がある.
子宮内膜癌が筋腫様の腫瘤として発見される頻度は高くないが,内膜にポリープ状に突出するものや,筋層浸潤の程度が強く,腫瘤状にみえることがあるので注意を要する.子宮肉腫は,子宮内膜間質肉腫,平滑筋肉腫,癌肉腫(悪性ミューラー管混合腫瘍)の3つに分類される.主として閉経後に発生し,無症状あるいは不正性器出血を訴える場合もある.時に子宮が急速に増大してみつかることがある.子宮内膜間質肉腫や癌肉腫は内膜の細胞診や生検で悪性が疑われる場合あるが,平滑筋肉腫は筋腫摘出子宮の組織診断で偶然発見される場合が多く,内膜細胞診や生検での診断率は低い.癌肉腫では内腔にポリープ状に突出する腫瘤としてみつかることがある.画像診断で子宮肉腫に特徴的な所見はない.変性を伴うことが診断根拠の1つとされるが,筋腫の変性との鑑別は困難である.腫瘍マーカーも特異的なものはないが,LDHの上昇は参考になる.また,病変が腹膜にまで及ぶものではCA 125の上昇をみることがある.
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