今月の臨床 産婦人科外来ベストナビゲーション
ここが聞きたい105例の対処と処方
IV 感染症
【梅毒】77.術前検査で梅毒反応が陽性であった患者です.
古堅 善亮
1
1順天堂大学附属静岡病院産婦人科
pp.581-583
発行日 2007年4月10日
Published Date 2007/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101510
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1 診療の概説
梅毒はスピロヘータ科トレポネーマ属の細長いらせん状の細菌,Treponema pallidum(TP)による性感染症である.梅毒は大きく後天梅毒と先天梅毒に分類されるが,まず後天梅毒の自然経過を述べる.
感染して9週までを第一期,それから3年までを第二期,3年以上を第三期,10~15年で脳・脊髄に変性をきたしたものを第四期梅毒という.第一期梅毒の経過は,まず,3週間の潜伏期間を経て性器に初期硬結が出現する.初期硬結は大豆大の硬い結節で無痛性である.それが自潰して潰瘍となったものを硬性下疳と呼ぶが無痛性である.通常単発性であるが,多発性で,潜伏期間の短い症例も認められる.感染後6週間で鼠径部のリンパ節が腫大し,梅毒血清反応も陽性化する.第二期に入ると皮疹(バラ疹,丘疹)が出現するが痒みもなく,自然に消退する.また,外陰にできた丘疹はびらんとなり扁平コンジローマと呼ばれる.その他,脱毛,粘膜疹がみられることがある.第三期梅毒ではゴム腫,結節性梅毒疹が出現する.ゴム腫は深部皮下組織,骨,筋肉,リンパ節に発生し,深い潰瘍をつくる.結節性梅毒疹は主に顔面に多発し,癒合・瘢痕化する.第四期梅毒では心臓血管系,中枢神経系が侵され,大動脈中膜炎,大動脈瘤,脊髄癆,進行麻痺が認められる.一方,感染していても症状がないものを潜伏梅毒,あるいは無症候性梅毒という.
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